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昭和産業株式会社
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PROJECT 01

業務用大豆たん白
「ミーテックス」
シリーズ新製品
開発プロジェクト

油脂部 油脂食材課 石崎 秀伍
基盤技術研究所 油糧科学研究室福井 貫介
油脂部 油脂食材課 石崎 秀伍
基盤技術研究所 油糧科学研究室福井 貫介

※取材当時の内容・所属部署です。

「新しい製品づくりに取り組みたい」感じるニーズの高まりと製造余力不足

大豆たん白カテゴリーの商品は、ここ10年以上高い需要が続き、売上も右肩上がりの状況にある。コンビニ・飲食チェーン・スーパーなどの伸長による外食・中食の拡大、冷凍・加工食品の食卓への浸透などがその要因とされている。
そのため、昭和産業の大豆たん白工場は恒常的にフル稼働という状態で、なかなか新しい取り組みに手が出せない、というある意味うれしい悲鳴を上げている状況であった。
「中期経営計画20-22」の中で、『大豆を軸とした植物たん白食品の開発』が目標に掲げられたこともあって、なんとかやってみようと思ったんです。まずは、お客様のニーズに耳を傾けるところから始めました。」(石崎)
加工食品の、例えば餃子やハンバーグや肉団子などに使われている大豆たん白。今までは「製品の歩留まりを上げるため、肉汁を良く吸い水分を抱えてくれる」ことが求められるケースが多かった。

社会やトレンドの変化が、大豆たん白製品開発の
新たなチャレンジを後押しした

お客様のニーズに耳を傾けてみると、どうやら潮目が変わってきているようだ、と石崎は感じた。
「大豆ミートも、これまでの高吸水という機能を残したうえで『もっと肉っぽい食感を出してくれ』というようなご要望を多く頂きました。」(石崎)
いわゆる健康志向や環境志向が影響して、低脂質高たん白であり環境に優しい大豆加工製品、とりわけ大豆ミートへの需要の高まりが明らかとなった。特にコンビニ・スーパー・外食産業は「ヘルシーで高たん白」という付加価値のあるメニューに対する意欲が強く、大量な需要先である冷凍食品・加工食品もおおむね近い状況にあった。
手応えを感じた石崎は、自部署と研究開発部門の合意をとり、油脂や大豆たん白の研究を担当している福井に相談を持ち掛けた。

市場が待つ製品誕生の前に
立ちはだかった、いくつかの壁

早速、研究所で素材の配合や加工の検討を始めた福井。1年弱の研究の末、素材配合の割合や加工条件においていくつかのパターンが確立できた。その中から、コスト、食感、吸水性、製造においてできるだけ負荷が低いもの、という条件の中で最もバランスの良いパターンを選択、いよいよ実際の製品製造に使用している実機での試作段階に突入した。
しかし、ここでプロジェクトは壁にぶち当たる。
「研究所の小さな試作機での結果が、巨大な実機ではなかなか再現できませんでした。配合は同じでも、全然違うものが出来上がってしまいました。」(福井)
壁はひとつではない。試作は、フル稼働中の工場の生産ラインの、わずかな隙間をぬって実施しなければならない。チャンスは限られていたのだ。
「生産現場を良く知る方、製造工程構築のプロである生産技術の方、多くの方に相談して数少ない試作の機会に臨みました。研究だけをしていた時より、幅広い方と協力し合う機会となり、とても良い経験となりました。」(福井)

脇役から主役へ
新たな価値を、店舗へ、食卓へ

限られたチャンスを活かし、周囲の意見を取り入れることで、狙い通りの品質を達成することが可能になった。
「熱の加え方が鍵でした。実機の大きさを考慮した加熱の仕方で、最後の壁を乗り越えることができました。」
(福井)
かくして、2020年秋、「ミーテックス」シリーズの新製品は石崎ら営業担当の力により、全国の需要先に提供され始めた。

評判は上々だ。
「もともと、よく水を吸って製造の歩留まりをあげるような製品づくりは昭和産業の得意分野でした。新製品は、それに加え『肉っぽい食感が出せる』という点も実現できます。これは、二律背反する条件をかなえる、画期的なものと自負しています。」(石崎)

何より、プロジェクトに関わったメンバーのみならず、「穀物ソリューション・カンパニー」である昭和産業のメンバーにとって誇らしいことがある。
「大豆たん白は、今まではどちらかというと加工品の製造を隠れて支える“脇役”でした。それが、例えばキーマカレーで言えばひき肉のように前面に出てくる“主役”になることができたのです。大豆ミートを訴求した商品も世の中にたくさん出てきました。」(石崎)
健康志向、環境志向に正面から応える大豆たん白は、店頭に並ぶ惣菜や各家庭の食卓に、「低脂質・高たん白」に加え「おいしさ」という価値を提供していく。



プロジェクト後記

「穀物ソリューション・カンパニー」をコンセプトとする昭和産業。大豆製品は、その重要な柱の一つである。
近年、健康志向・環境志向に応える形で、技術を売りにした新規参入者が散見される。そうした存在は、石崎や福井が思いもしないアプローチで製品開発を行うこともある。一見、脅威のようだが、そのようなメーカーはメディアなどからも取り上げられやすいことから大豆という穀物の価値を広く知らしめ市場の活性化につながる側面はある。
そんな変革期にある大豆ミート市場にあって、大豆の取り扱いに関して歴史のある昭和産業の存在意義や使命は何か。まず、分別生産流通管理された大豆の確保はそう簡単なものではなく、培ってきた安定供給ノウハウがある。加えて本取り組みの様な営業-研究開発-製造が一体となって新しい製品を世に送りだす仕組みがある。昭和産業は、国内市場に安心でおいしい大豆製品が流通し続けるために、重要な役割を担い続ける。