残ったホットケーキの保存法

残ったら冷凍! いつでも簡単!
ふっくらおいしいホットケーキを楽しもう

たくさん焼きすぎて食べ切れずに残ってしまったホットケーキ、どうしていますか? せっかく焼いたホットケーキ。最後の1枚までおいしく食べたいですよね。そんなときは、冷凍保存がおすすめです。
焼きたてのおいしい状態で保存をしておけば、お子様のおやつに、ちょっとおしゃれな朝食やランチに、ママのティータイムに、食べたいタイミングにいつでも手軽にホットケーキが楽しめます。
時間のあるときに、まとめて焼いて保存しておいても良いでしょう。そこで、料理研究家の石澤清美さんに、残ったホットケーキの上手な冷凍保存法、解凍の仕方、アレンジのコツなどをお聞きしました。

ホットケーキイメージ

長くおいしく食べたいなら冷凍保存 2、3日なら冷蔵保存もOK

ホットケーキやパンなどの"粉もの"を長くおいしく楽しむためには、冷凍保存が最適です。そのまま置いておいたり、冷蔵庫で保存すると小麦粉の中のでん粉が老化してパサパサになり、他の食品の匂いが移りやすくなるからです。焼きたてのおいしさや風味をキープしたいときは、冷凍したものを食べるタイミングで解凍することをおすすめします。

とはいえ、「数日で食べ切ってしまうのに、わざわざ冷凍するのはちょっと面倒......」という方もいると思います。ホットケーキの場合は糖分が含まれているため、食パンなどと比べると水分が抜けにくく、すぐにパサパサになることはありません。そのため、2、3日程度ならラップに包んで冷蔵庫で保存するのもOK。「たくさん焼いたとき、2、3日で食べる分だけ冷蔵して残りは冷凍」「子どものおやつ用の作り置きなら冷凍」「翌朝の分を準備しておきたいときは冷蔵」など、ご家庭での食べ方に合わせて使い分けをしても良いですね。

では、残ったホットケーキを冷凍保存する際のコツや上手な解凍の仕方、アレンジ法などをご紹介していきましょう。

その1ラップに包んで冷凍保存をして焼きたてのおいしさをキープ!

ふんわり焼き上がったホットケーキは、ふっくらやわらかい"おいしい状態をキープしたまま"ラップに包んで冷凍保存をするのがポイントです。 ただ、焼きたての熱々のままだとラップの内側に水滴がついて霜ができやすくなり、それが冷凍庫臭が移る原因にもなるため、粗熱をとってから一枚ずつぴったりと包みます。ラップで一枚ずつ包むのは、おいしさを保つためとホットケーキの表面同士がくっつかないようにするため。枚数が多く一枚ずつ包むのが面倒であれば、ホットケーキの間にラップを1枚挟み、何枚かまとめて包んでも良いでしょう。「すぐに食べるから冷蔵保存で」という場合も、同様にラップで包んで保存するのがおすすめです。

また、冷凍の際は保存中にラップが剥がれてしまうと表面が乾燥してしまうため、包んだホットケーキをさらにジッパー付きの冷凍保存袋などに入れて空気を抜き、なるべく密封した状態にするのがおいしさを逃さないコツ。ラップに包んだホットケーキを、大きめの食品保存容器に入れておくのも良いでしょう。こうして保存しておけば、食べたい分だけ電子レンジで解凍できるので便利です。

ホットケーキに限らず、温かい食品を冷凍する際はなるべく短時間で凍らせることが鮮度を保つコツです。ご自宅の冷蔵庫に急速冷凍モードがある場合は、それを活用すると良いでしょう。ただ、冷凍庫は扉を開閉するたびに温度が変化するため、きちんと保存していても霜がついて乾燥しやすくなります。冷凍したホットケーキはなるべく早めに、遅くとも2週間以内で食べ切るようにしましょう。

その2電子レンジやオーブントースター 蒸し器などで温め、おいしさ復活!

冷凍保存したホットケーキは、自然解凍するだけでもある程度おいしく味わえますが、やはり電子レンジやオーブントースター、蒸し器などで温めるのが断然おすすめ! ふっくらとした食感や、粉の風味、バターやバニラなどの香りが立ち、焼きたてに近いおいしさが蘇ります。

一番簡単な方法は、ラップで包んだホットケーキをそのまま電子レンジで解凍すること。その際、もしラップの内側に霜がついていたら、取り除いてから温めることで冷凍庫臭を防ぐことができます。表面をパリッとさせたい場合は、電子レンジで温めたり、冷蔵庫で自然解凍してからオーブントースターなどで焦げない程度に表面を焼くと香ばしさがアップします。

最近は"ふんわりしっとり"とした食感が好まれているので、蒸し器を使って解凍するのも良いでしょう。また、フライパンでも簡単に解凍できます。フライパンに少量の油をひいて凍ったままのホットケーキをのせ、ホットケーキの周囲に水(大さじ2程度)を流し入れ、蓋をして3、4分蒸し焼きにします。この方法は、水分を加えて蒸すことで食感がしっとりとしますが、最後に再度油を入れて両面をカラッと焼くことで香ばしく仕上がります

  • 加えた水が残っている場合は、ふき取ってから油を入れてください。
  • 水を入れる際にはホットケーキにかからないように入れてください。

その3朝食に、大人のおやつに、お弁当にも!? ホットケーキの簡単アレンジ

おいしく解凍したホットケーキは、いつものようにバターやメープルシロップ、はちみつ、ジャムなどを添えて楽しむのも良いですが、ちょっとしたアレンジで朝食やランチ、ティータイムなど様々なシーンで大活躍してくれます。

ホットケーキミックスは、"ほのかに甘い"味付けなので、デザートとしてだけでなく、チーズやマヨネーズ、ソーセージ、ベーコンといった食事系のものとも相性が良いのがポイント。私は以前、ゴマやナッツなどを混ぜて一口サイズに焼いたホットケーキをお弁当に入れていました(笑)。ランチの最後に、ホットケーキがあるとちょっと特別感がありますよね。

このようにお弁当に用意しておくなら、あらかじめ小さめのホットケーキをたくさん焼いて、冷凍しておくのもおすすめ。その際、生地に溶かしバターやマヨネーズなどの油脂類を加えれば口溶けも良く、ふんわりと仕上がります。小判型やバトン型に焼いたり、大きめに焼いて切り分けて保存したり、生地にゴマや抹茶、ココア、ナッツなどを混ぜ込んで焼くのも楽しいですね。

  • 分量はホットケーキミックス180~200gに対し大さじ1程度まで。

冷凍しておいたけれどつい忘れてしまったという場合は、簡単にリメイクできます。卵、牛乳、砂糖を合わせた液に、食べやすい大きさに切ったホットケーキとフルーツを入れてオーブントースターや電子レンジで加熱すれば「パンプディング」ができますし、砂糖とフルーツの代わりにチーズ、トマト、ブロッコリー、ハム、ソーセージなどを加えれば、軽食風にも。溶けるチーズをのせてフライパンで焼いて、フォカッチャ風にしてもおいしいです。

また、水分が抜けて硬くなってしまったら、砂糖とバターをフライパンでキャラメル状に溶かしてホットケーキを浸しながら焼くと、表面はカリッと中はふわっとした食感で"クイニーアマン風"にもなり、ナッツなどを加えると、さらに贅沢な大人のおやつになります。

ホットケーキだけでなく、食材は何でもおいしいうちに食べ切るのが基本。でも、うっかり忘れてしまった場合やどうしても残ってしまった場合も、無駄にするのではなく"おいしく食べ切るための方法とヒント"をたくさん知っておくことで、楽しくアレンジができます。

近年、フードロスが問題視されています。余った野菜くずを溜めてベジスープにしたり、野菜の皮をきんぴらやピクルスにしたりなど、日常的に意識していないとなかなかフードロス対策には取り組めないものです。ホットケーキは、そんなときにいろいろな食材をまとめることもできる優秀なアイテムです。

冷蔵庫の残り野菜を細かく切ってホットケーキの生地に混ぜ込んで焼くと洒落た野菜ケーキになりますし、残ったカレーもホットケーキにかけるとボリュームたっぷりの軽食に。クレープのように薄く焼いたホットケーキに、余ったお惣菜を巻き込んでもOK。

ホットケーキを無駄なく、おいしく楽しみながら、家族で食べ物の大切さを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

お話を伺ったのは

石澤 清美さん写真

石澤 清美さん
料理研究家。少人数制料理教室KIYOMI's FOOD ATELIER主催。雑誌、書籍、テレビなどで活躍するほか、食品会社の商品開発も手掛ける。毎日のおかずから、保存食、お菓子、パンまで、レパートリーは広く、豊富なアイデアから生まれた、家庭で無理なく作り続けることができるレシピが人気。また日本各地での料理教室や講演で、地産地消、食材を無駄なく使いこなす方法、食材の持つ効能などを伝えている。著書に『下味冷凍 スピードおかず』(主婦と生活社)、『捨てない料理 始末な台所』(マイナビ出版)など多数。

KIYOMI's FOOD ATELIER
https://www.kiyomi-ishizawa.com/

2022年12月

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